夢小説B

【私のクマさん】 〜私を呼ぶのは誰?〜
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第14話✪彼の素



光忠「こんにちは」

『あ!こんにちは!』

光忠「隣、いいかな」

『えぇ、どうぞ。』

あの日をきっかけに、お兄さんはよく公園に来るようになった。顔見知りになったからか、必ず話し掛けられて、いつしかお昼を共に過ごす仲になる。

『(物腰も柔らかいし、お話上手だし・・・うぅ、ヤバイ。ドキドキする〜)』

これもうあれだよ。好きになっちゃうやつだよ?と、つい赤くなる頬を慌てて手で風を起こして冷ます。

光忠「あれ?今日もパン?」

『あぁ、はい。そこの通りのパン屋さんでいつも買っていて。』

光忠「・・・」

『(あれ?なんか眉を潜めていらっしゃる?)』

光忠「自炊は?」

『し・・・て、ません。』

光忠「普段はお母さんが作ってくれてるの?」

『いえ、その・・・今は一人暮らしで・・・』

光忠「えっまさか、毎食そういう食事で済ませてる!?」

ガッと迫るように肩を掴まれた。いつものふんわり優しい彼からは想像できない程鬼気迫ってて、内心物凄く驚く。

『えっえぇ、まぁ。そうです!』

信じられない・・・といった顔でワナワナしてるお兄さん。これは、あれだ。いつもの穏やかな感じよりも、こっちの性格が素なんだろうな・・・なんてこっそり読み取る。

光忠「野菜」

『飲み物でなんとか』

光忠「肉」

『晩ご飯は惣菜パン食べてます』

光忠「お味噌や漬け物」

『え?それ・・・必要ですか?』

光忠「勿論だよ」

『そっそうですか。なら・・・あ〜一食くらいはコンビニで買います。』

光忠「コンビニだと高くつくよ!スーパーとか頻繁に安売りしてるからそこで買うといい。あっ賞味期限には気を付けてね!安売りはすぐ痛むから。」

『・・・』

光忠「ん?」

『なんだか・・・生き生きしてますね(主夫みたい)。』

光忠「え?」

『ふふっ!やっぱり、お兄さん。そっちが素でしょ!ははっ!全然違うもん!』

つい笑ってしまうと、彼は顔を赤らめてから自分が私の肩を掴んだままだった事に気が付いて、ゆっくりとベンチに座り直すと頭を抱えた。

光忠「忘れてくれ・・・」

『えー?ははっ!どうしてですか?』

光忠「カッコつかないから・・・」

『今のお兄さんの方が、話しやすくて私は気が楽になりましたよ?』

ニコニコしながら彼の顔を覗くと、彼は困ったような顔をしながら視線を泳がせた。

光忠「い・・・言っておくけど・・・さっきのもいつもの僕じゃないから。」

『えー?そんなに嫌がらなくても。しかも、もって言った〜。』

光忠「・・・」

ちょっとむくれてる。そんな彼が可愛らしく見えて、ついまた笑ってしまう。そんな私を見て、彼は・・・笑いが移ってしまったように吹き出して、嬉しそうに笑った。
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